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2015.08.22
メイン食材のマイナス作用を補う和のスパイス
スパイス(Spice)は、日本語で言うところの「香辛料」のこと。スパイスというと乾燥させて粉末にしたイメージがありますが、和の粉末スパイスの代表と言えば「山椒」。練りスパイスでは「わさび」と「和がらし」、おろしスパイスでは「生姜」「ニンニク」といったところでしょうか。
wasabi

主役の魚や野菜の味を引き立てる“名脇役”

わさび
特徴は、何といっても単体で使うことが多い点。西洋料理ではブーケガルニのように数種類のスパイスをミックスさせて使うこともありますが、山椒やわさびなど、和のスパイスは単体で使うことが多いですよね。

その理由は、和食が素材そのものの良さを味わって食べる料理が多いからだと言われています。確かにわさびはお刺身に欠かせないスパイスですが、食べた瞬間にツーンとした刺激が鼻を抜けていきます。でも、後を引かずにその味がいつまでも口の中に残って、料理の味と混ざることはないですよね。 

山椒にしても和がらしにしても同じだと思いませんか?どれも食べた瞬間はスパイスの持つ刺激が食材に勝っているものの、次の瞬間には食材の持つ味や香りが口いっぱいに広がっていきます。

インドのカレーなどは、どちらかと言えば野菜や魚介類などの食材よりも、ターメリックやクミン、ナツメグ、コリアンダーなどのスパイスが主役のようなところもあります。でも、和のスパイスはあくまでも主役である魚や野菜を引き立てる、さしずめ“名脇役”といった感じがします。

七味唐辛子は和のミックススパイスの代表!

sitimi
和のスパイスには、単体ではなくミックスしたものもあります。その代表が「七味唐辛子」。原料には唐辛子をはじめ、山椒、陳皮(ちんぴ)、ゴマ、けしの実、青のり、麻の実などが使われていて、そこに生姜やゆず、しそなどがブレンドされているものもあります。

他には「もみじおろし」「柚子胡椒(ゆずこしょう)」が和のミックススパイスとして有名です。ちなみに、柚子胡椒はすりつぶしたゆずと生唐辛子を混ぜ合わせたもの。名前に“胡椒”がついていますが、この胡椒とは唐辛子のこと。九州では昔から唐辛子のことを「胡椒」と呼んでいるんですね。

山椒にしろ、わさびにしろ、生姜にしろ、スパイスの大きな特徴として“刺激的な辛さ”がありますが、ゆずのように酸っぱいものもあります。皮は薄くそいで漬物やお吸い物、酢の物などに香りのアクセントとして使うことが多いのですが、ゆずポン酢に代表される果汁を使ったものは、お酢ほど酸味が強くなく、口の中にさわやかな酸味が広がるのが特徴です。

うなぎや刺身などメインの食材のマイナス作用を和らげる働きが

山椒
和のスパイスの薬膳効果ですが、うなぎの蒲焼に添えられている粉山椒には、魚の臭みを抑えて毒を消し、血行をよくする効果まであります。土用の丑の日にうなぎを食べるのは、うなぎの栄養価にプラスして、粉山椒の毒消し効果が暑さで弱っている胃腸を守ってくれるという働きもある点でも理に適っていると言えますよね。

山椒は「はじかみ」や「ジャパニーズペッパー」とも呼ばれ、「山椒は小粒でもピリリと辛い」と言われるように、とても刺激の強いスパイスです。葉、花、実など使う部分によって効能が異なります。

他にも体を冷やす働きがあるお豆腐に、ネギや生姜などのスパイスを薬味としてプラスすることでマイナスの働きを和らげるという効果も。こうした“ちょい足し食材”として、刺激や香りはもちろんのこと、魚や野菜などメインの食材のマイナス作用を補うという点でも、スパイスは和食料理に欠かせない存在というわけです。
薬膳アドバイザー/風土(FOOD)ライター 川端真弓