Topsankaku和食の名店・達人sankaku旬な日本料理人4人が語る「和…
2015.12.22
旬な日本料理人4人が語る「和食の魅力」【後編】
12月6日(日)に東京・丸の内の丸ビルホールで開催された、日本料理人によるパネルディスカッション「『和食っていいね!』と言われたい 和食の魅力 Part.3これからの和食」。
前編では京都「木乃婦(きのぶ)」三代目・髙橋拓児(たかはしたくじ)さん、京都「美山荘(みやまそう)」四代目・中東久人(なかひがし ひさと)さんの伝えたい和食を紹介しましたが、後編では京都「瓢亭(ひょうてい)」十五代目・髙橋義弘(たかはしよしひろ)さん、「近茶流嗣家(きんさりゅうしか)・柳原料理教室副主宰」柳原尚之(やなぎはらなおゆき)さんが伝えたい和食を紹介します。
前編はこちらから
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伝えたい和食 髙橋義弘編

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瓢亭の髙橋義弘さんが伝えたい和食は「精進筑前煮」。 髙橋さんは、「作り手と食べる側の無言の会話がある」と話し、作る側は常にイメージをして料理を作り、 食べる側は無意識に食べる順番を考えて食感や食材を楽しんで食べている、と語ってくださいました。
また、筑前煮は季節によって使う食材を変えたり、それぞれの家庭のアレンジができる料理なんだそうです。
髙橋義弘さんの「精進筑前煮」
材料:2~3人分
れんこん(中) 1/2本(約100g)
ごぼう 1/2本(約70g)
こんにゃく 1/2枚(約150g)
にんじん 1/2本(約100g)
さやいんげん 40g
干ししいたけ 3枚
水 400ml
ごま油 大さじ1
砂糖 大さじ1
キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 大さじ2
マンジョウ 本みりん 大さじ1

作り方
① 干ししいたけは、水(分量外)に10分ほど浸けた後、表面の汚れを落としていったん水を捨てる。 新たに水400mlに浸して一晩(8時間以上)おく。 干ししいたけの軸は取り除き、4つに切る。
② れんこん、ごぼう、にんじんは、皮をむいて乱切りにする。
③ さやいんげんは約3㎝幅に切る。
④ こんにゃくはスプーンでちぎり、いったん湯がいて水にさらす。
⑤ 鍋にごま油を入れて中火にかけ、②と④を炒める。
⑥ ⑤の油がなじんだら、①の干ししいたけと戻し汁を加える。中火で煮て、アクを取り除く。
⑦ 干ししいたけがやわらかくなり、野菜に火が通ったら、砂糖、しょうゆ、みりんを加えて中火で煮込む。
⑧ 煮汁が1/2程度になったら、③のさやいんげんを入れて火を通し、煮汁が1/3以下になるまで煮しめる。

伝えたい和食 柳原尚之編

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近茶流嗣家の柳原尚之さんが伝えたい和食は「江戸厚焼き玉子」。 この料理には、江戸料理の技術と美味しさのバランスが詰まっているそう。
銅の玉子焼き鍋を使うのがおすすめで、使うごとに鍋も家庭の味として育つとのこと。
甘辛いのが江戸厚焼き玉子の特徴。甘さのコントロールが重要だそうです。
経験して分かる味があるので、代々作られてきた伝統の味を残し、その上で進化させていかないと文化が広がらないとおっしゃっていました。
柳原尚之さんの「江戸厚焼き玉子」
材料:4人分
玉子 5個

甘露だし
 だし 70ml
 砂糖 大さじ4
 キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ 小さじ1強
 酒 大さじ1と1/2
 塩 小さじ1/5

油 適量
大根おろし 適量

作り方
① 鍋に甘露だしの材料を入れて火にかけ、砂糖が解けたら、火から下ろして冷ます。
② ボウルに卵を割り、カラザを取り除き軽くかき回してから、①と合わせる。
③ 玉子焼き鍋を温め、キッチンペーパーなどで油をぬり、少量の卵汁を落として焼け具合を確認してから、 1/4量程の卵汁を入れて全体に軽く火を通して、半熟状態の卵を手前に二つ折りにする。
④ 鍋の空いた部分に油をぬり、二つ折りにした玉子焼きを奥に滑らせる。
⑤ 空いた手前部分に油をぬってから卵汁の1/3量を流し入れ、先に焼いた卵の下に卵汁を流し込み、両方がくっついたら、また二つ折りにする。
⑥ 残りの卵汁は④、⑤と同様に繰り返して、卵を重ねていく。
⑦ 最後にきれいな焼き目をつけて、まな板などの板に取り、好みの大きさに切る。
⑧ 器に盛りつけ、大根おろしを添える。

和食っていいね!

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最後に皆さんから「和食」について大事にしてもらいたいことをお聞きしました。

柳原尚之さん
「食の文化は家庭から育つものです。家庭で食べたものが自分の舌の基準となります。 家庭の味を繰り返し作ることで、料理の腕も上がるし舌も育つと思っています。」

髙橋義弘さん
「丁寧に作る、「てまひま」をかけることから料理が始まると思います。 相手のことを思って、楽しく自然と手間を忘れるくらい熱中して自分のレシピを作っていってもらいたいです。 自分のレシピを作るときは、家庭の味やそれまで食べてきた料理の味が反映されます。 受け継がれてきた料理を食べた「美味しい」という記憶を振り返り、次の世代に伝えていくことができる料理が和食だと思っています。」

中東久人さん
「これまで3回開催されたこのイベントを通して、自分でもより一層「和食」を深く理解することができました。 生きていくためには最低限のエネルギーさえ摂取していれば大丈夫ですが、 より充実した生活をおくるためには、日本で生み出された和食を食べるということが大切だと思っています。 日本の調理法や食材は日本人の体に優しいものだと思っています。」

髙橋拓児さん
「和食は「輪」を作る食という、ネットワークや社会を形成するものです。
食を通じて周囲の人とコミュニケーションを取ることや、人の心を理解すること、楽しい時間を過ごすことが食の醍醐味だと思います。 和食は日本の風土や歴史を感じてホッとするものであってほしいです。」

2016年2月・3月には料理講習会を開催

来年の2月と3月には、今回のイベントで紹介された「伝えたい和食」をそれぞれの料理人たちが直接指導してくださる特別料理講習会が開催されます。 料理の基本やポイントをプロに教えていただける貴重な機会ですので、ぜひ参加してみてください!
新しいものを取り入れることも大切ですが、ぜひ一度、てまひまをかけてじっくりと和食の定番メニューを作ってみるのはいかがでしょう。 きっと新しい発見がありますよ!